浜松町のビジネス街から程近い港区芝大門にはちょっと変わった八百屋さんがあります。店先には野菜がずらりと並んでいて一見すると普通の八百屋さんに見えますが、実は“ただの八百屋さん”ではないのです。
景気が低迷する中、密かに成長し続けてきたビジネスがあります。『
二毛作ビジネス』です。二毛作とは1年に同じ場所で2回、異なる種類の作物を栽培することを指す言葉です。
二毛作ビジネスとは、たとえば“うどん屋さんとバー”のように、昼と夜とで全く違ったビジネスを展開することを指します。
中央区にある『4030ペーパーサイト』も
二毛作ビジネスを展開しています。リサイクルペーパーで作ったオブジェや段ボールでできた人形など、紙をテーマにユニークな商品を販売しています。天井までの高さが5メートルもあるショールームは、夜になるとライブスペースへと姿を変えます。照明を変えると紙製品がセットの一部のようになり、昼間とは全く違う表情を見せます。運営するシオザワの塩澤好久社長は「ミュージシャンの公演を聞いて感動したのでライブをやったら、案外音がいい。夜に何もやっていないのはもったいないという話から始めた。当社の新しい顧客層の開拓の一助を担ってほしいと思っている」と話します。
東京都心にあるオフィスビルの空室率はリーマン・ショックを機に3年連続で増加しています。貸し手側は少しでも稼働率を上げたい、一方の借り手側は少しでも家賃負担を軽くしたいという互いの思惑が『
二毛作ビジネス』の増加を後押ししています。第一生命経済研究所の永濱利廣さんは「景気が悪くなるのに伴ってオフィスなどの空室率が増えてきた。同じ場所の有効活用ということで『
二毛作ビジネス』が拡大してきている」と話します。
中継先の八百屋さんも『
二毛作ビジネス』を展開しているお店です。八百屋さんは夕方の4時半からの営業ですが、昼間は“イタリア風デリスタイルの弁当を販売”しています。弁当店の営業は午前11時から午後2時半までで、オフィス街にあるまるでカフェのような店内ということで女性に大人気だということです。昼間にイタリアン弁当店『デリ・アル・ソーレ』を運営する平澤昇さんは、
二毛作ビジネスを始めたきっかけとして「昼だけの営業だったので、夜に何かできないかと模索していた」「弁当店では野菜やフルーツをたくさん使っている。このおいしさを分かってもらえればと思い、八百屋さんと組んだ」と話しています。一方、夕方から八百屋さんを運営しているベジタブル・ウェーブ代表の樋口義治さんは「この地域にはスーパーマーケットなどの店が無い。やってみたら、思った以上の手応えを感じている」と話していました。
都内では地域性を生かしたユニークな
二毛作ビジネスの店が増えているということです。次はどんなお店が誕生するのでしょうか…。
TOKYO MX NEWSから